新幹線の移動中に(1)

 新幹線で東京に出張した時のこと。

 同じ駅から乗った高校生ぽい少年2人とスーツを着た大人2人に目が留まった。部活の遠征や学校行事やらで新幹線に乗る同年代の組み合わせはよく見るが、何か雰囲気が違っていた。

 たまたま車内では近くの席だったので、4人の様子もよく見えたのだが、出発してからしばらくしても会話もなく、向かい合わせで4人座ったにしては黙り続け過ぎている。

 高校生ぐらいの普通の青年ぽい2人と、横には人相があまりよくない刑事っぽい服を着た2人。なんか護送してるみたいだなあと思って、少年の手元を見るとカバーはかけてあったが、手錠がしてあった。さらに2人の少年は一本の腰ひもでつながれていた。

 つまり、護送中だった。

 少年はだれかに何かしらの迷惑がかかることをして、逮捕もしくは補導されて、自由を奪われて同じ新幹線に乗ったのだろうが、同じ景色を見ながら同じ車両に乗っていてもも自分とは境遇はかなり違う。車内販売で気軽に何か買えるわけでもなく、携帯型音楽プレーヤーで音楽を聞くことも、パソコンやスマフォも携帯電話も使えない。

 この少年がどのような経緯で護送されることになったのかは知るよしもないが、いずれにせよ、更正できるのなら、一度護送されるような立場になったとしても、再度出直して世の中に貢献できる。そうなって欲しいと思った。

 東京駅で東北・上越・長野新幹線への乗り換え口に他の大人2人をあわせた6人で通過していくのが見えた。

 子供が育って、次の世代が育って初めて大人も育てられるような気がする。日本の子供はみな育って欲しい。最近ちょっとそう思うようになってきた。